建設業経理士2級 第37回 過去問+解説 第3問 個別問題

まずは初めに結論を。一口で言うと。まとめ。要旨。

 本問は、『完成工事原価報告書』です。処理の数が多くて手間がかかるだけの問題です。T字勘定をシッカリ書けば、自ずと答えが出ます。怖いのは、計算ミスくらいです。落ち着いて解いてください。

第3問 個別問題‐完成工事原価報告書

 ◇問題◇

 

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解説

 結論から言うと、「答えはこちら」です。

 本問のレベルは「ふつう」です。

 落ち着いて計算してください。

解説

 まずは、解答用紙を見ましょう。

 見るからに、「未成工事支出金」のT字勘定を書けといってますね。

 また、「完成工事原価報告書」が解答用紙にあります。

 よって、材料費 労務費 外注費 経費(プラス人件費)のT字勘定も書かんといかんなーと読み取れます。

未成工事支出金

 さて、未成工事支出金のT字勘定ですが、注意点があります。

 未成工事支出金の「前期繰越」は、資料の「材料費 労務費 外注費 経費」の期首残高を合計したものです。

 んで、未成工事支出金の「材料費 労務費 外注費 経費」は、資料の個々の「当期発生額」が該当します。

 そして、「次期繰越」は、いわずもがなですが、資料の「材料費 労務費 外注費 経費」の次期繰越額を合計したものです。

 未成工事支出金のT字勘定に、資料の数字を入れて、貸借差額を計算しましょう。

 そうすっと…、

 

 …と、こんな感じになります。

 なお、画像ではわかりやすいように、アルファベットの横に括弧書きで勘定科目を書いてますが、正式な答えは、アルファベットだけなので、注意してください。勘定科目を書いちゃダメですよ。

 さて、資料の数字を足し算するだけの処理ですが、計算ミスが怖いので、3回くらい、検算しときましょう。

 ここで計算ミスをすると、全部間違いになりますので!

 さて、未成工事支出金の貸借差額ですが、「完成工事原価」に振り替えられますね。

 この処理は、第5問の精算表でお馴染みですよね。

 仕訳的に言うと…、

 借方:完成工事原価 13,384,500

 貸方:未成工事支出金 13,384,500

 …ってな感じですね。

完成工事原価

 「完成工事原価」のT字勘定でやることは、単に「損益」に振り替えるだけです。

 仕訳的に言うと…、

 借方:損益 13,384,500

 貸方:完成工事原価 13,384,500

 …ってな感じですね。

 この仕訳を切ることで、完成工事原価の残高が「損益」に振り替えられた次第です。

 最終形は…、

 

 …です。

販管費・支払利息

 先の完成工事原価の処理と同じく「損金」に振り替えるだけなのが、販管費・支払利息です。

 残高を計算して。それぞれを「損益」に振り替えましょう。仕訳の要領も同じです。

 販管費は…、

 借方:損益 1,290,000

 貸方:販管費 1,290,000

 …です。

 支払利息は…、

 借方:損益 14,000

 貸方:支払利息 14,000

 …です。

 最終形は…、

 

 …です。

完成工事高

 完成工事高も、単に、「損益」に振り替えるだけですね。

 ただ、解答用紙のT字勘定の括弧と「1,700,000」が厄介ですが、種を明かせば、なあんだですね。

 完成工事高が計上される仕訳を考えてみてください。

 解答用紙にあるように、売掛金たる「完成工事未収入金」が計上されるのが常ですね。

 たとえば…、

 借方:完成工事未収入金 50

 貸方:完成工事高 50

 …とかですね。

 さて、工事が完成する前に、売り上げの先払い的な勘定がありましたね。

 「未成工事受入金」です。

 「未成工事受入金」があった場合、もう支払いを受け取っているのですから、その分だけ、完成工事未収入金を減らしました。

 たとえば未成工事受入金が「20」あったとしたら…、

 借方:完成工事未収入金 30

 借方:未成工事受入金 20

 貸方:完成工事高 50

 …とかになります。

 こんな感じで、完成工事高の仕訳で使いそうな勘定科目「未成工事受入金」が括弧の勘定となります。

 最終形は…、

 

 …です。

損益

 損益は、費用や収益のそれぞれを書くだけです。

 貸借差額は、「繰越利益剰余金」で処理します。

 勘定科目群を見ると、当該繰越利益剰余金くらいしか使うもんがないですね。

 最終形は…、

 

 …です。

完成工事原価報告書

 完成工事原価報告書に使う数字は、材料費以下のT字勘定から、使用分を、転記するだけです。

 材料費は…、

 

 …です。

 労務費は…、

 

 外注費は…、

 

 …です。

 経費は…、

 

 …です。

 配点可能性の高い人件費は…、

 

 …です。

 後は、集計を出すだけですね。

 計算ミスがないように、T字勘定以下の計算は、3回くらい、検算しときましょう。

 処理がカンタンなのに、計算ミスで落とすのはもったいないですよ。

こたえ

 

 …と相なります.

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第37回

 インデックス

第1問:仕訳

 1問:配当支払

 2問:法人税の納付処理

 3問:固定資産の売却

 4問:貸し倒れ

 5問:工事進行基準

第2問:文章問題

 1問:社債の償還

 2問:火災未決算

 3問:材料評価損

 4問:のれん代

第3問 個別問題

 1問:完成工事原価報告書

第4問 理論+計算

 理論問題

 部門費振替表:階梯式配賦法

第5問 精算表

 精算表:インデックス・ポイント

 精算表:設問1

 精算表:設問2

 精算表:設問3

 精算表:設問4

 精算表:設問5

 精算表:設問6

 精算表:設問7

 精算表:設問8

 精算表:設問9

 精算表:設問10

PDF過去問の閲覧

 結論から言うと、PDF形式の過去問でイライラしている人は、「タブレット」で閲覧する、といった次第です。

 

 当方、PDF過去問の閲覧には、12インチのタブレットを使いますが、「紙」の過去問と遜色なく、問題演習に集中できています。

 公式のPDF過去問は、スマホだと画面が小さくて問題文が読み難く、PCだとキーボードやマウス、配線等が邪魔で、かなりイライラします。

 本格的な“問題演習”には、「タブレット」が最も勝手がよく、ストレスが少ないというのが実感とするところです。

 PDFタイプの過去問演習でイライラしている方は、「タブレット」の活用を勧めます。押入れから出してみてください。

 なお、手許に「タブレット」がない人は、最もコスパの高い、アマゾンの「Fire HD」を推薦します。

 アンドロイド製のタブレットと性能が遜色ないくせに、値段は数割安く、もちろん、PDFの閲覧も可能で、コストパフォーマンスが秀逸です。

 とりわけ、スマホしか持ってない方に勧めます。小さい画面での問題演習は、倍疲れます。

 受験が終わっても、アレコレ使えますし、安価なサブ機としても使えます。これを機に「Fire HD」を買っても、損はないです。

独学向け教材

 教材の詳細は「教材レビュー」で述べていますが、読むのが面倒な方は…、

 簿記2級持ちの方は、ネットスクールの「建設業経理士 過去問題集&テキスト 2級 出題パターンと解き方」1冊で事が足ります。

 簿記3級持ちの方は、テキストと問題集は、TACの「スッキリわかる 建設業経理士2級」と「スッキリとける問題集 建設業経理士2級」を…、

 過去問には、「合格するための過去問題集 建設業経理士2級 」を使えばよいでしょう。

 建設業経理士2級は、市販されている教材が少ないので、大概、こうなるかと思います。試験会場でも、多くの人が同じような教材を手にしていました。

 ところで、電卓です。

 100円ショップで売ってるような、ぺらぺら計算機は計算ミスの元です。

 高品質な電卓を使っていない方は、「簿記検定試験の計算機(電卓)選び」や「売れ筋の電卓は、結局なに?」を参考に、買い換えてください。

 簿記2級では必須の高品質電卓と避けるべきペラペラ計算機

 左のがぺらぺらで、中と右が高品質の計算機です。絶対的に高品質の方が打ちやすいです。

 高品質な計算機

 考えるのが面倒な人は、わたしが愛用している「DF-120GT」にすればよいでしょう。これで支障ありません。建設業経理士もこれで受験しました。

建設業経理士2級のこまごましたもの

 建設業経理士に関するこまごましたことは、ブログに投稿しています。

 「建設業経理士の投稿記事」をばご参考ください。

 合格体験記は「建設業経理士2級の合格体験記」で、合格証書は「建設業経理士2級の合格証書」です。

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