FP(ファイナンシャルプランニング)技能士3級の独学

まずは初めに結論を。一口で言うと。まとめ。要旨。

 FP技能士3級の独学方法と、学科と実技の進め方と注意事項とを、「とにかく楽したい人」「2級以降を考えている人」「シッカリ勉強したい人」「他の資格保有者」別に述べていきます。

ひとくち基本方針

 FP技能士3級は、“試験が試験”なので、標準的なテキストと問題集を、『3回』繰り返しておけば、まず独学合格できます。

 合格率も60%台と非常に高く、競争試験でもなく、合格点の6割を得点すればよいので、合否そのものを気に病む必要はありません。

 簿記のように計算技術に習熟する必要もなく、解答はほぼマークシート。この点でも、格段に受かりやすい試験となっています。

 教材についても、“試験が試験”なので、そう大差はありません。好きなのを使えばいいです。詳細は「教材レビュー」に述べていますが、まあ、てきとーでいいです。

試験が試験とは?

 FP技能士3級が「カンタン」と言われるのは、試験形式が最たる理由です。

 学科試験も実技試験も、「3択」で出題されます。

 ですから、確率的に、最低でも「3問」は取れてしまうのです。(14問連続で不正解になる確率は0%を切ってますので、おおむね14問ごとに1問は確率的に取れます。)

 60問出題で6割の「36問正解」で合格ですから、天から与えられた誰でも取れる「3問」を引けば、実質的に取らないといけないのは、「33問」となってしまいます。

 言うなれば、実質半分強の55%だけを、自分の力で取ればいいという寸法です。

 しかも、です。

 少し勉強すれば、選択肢の1つくらいは消せます。ですから、実質「2択」問題となり、さらに“運だけで取れる点数”が積み上がっていきます。

 このため、あまり勉強しなくても、試験に通ってしまうのです。これがため、「カンタン」と評価されているのです。

 反対に言うと、知識や実力が付く前に「合格」してしまうのが、FP技能士3級という資格のホントの所です。

 ただ、注意して欲しいのは、「受かるだけ」がカンタンなだけで、「勉強内容」自体はカンタンではないということです。

 まったくのゼロから始める人にとっては、細々とした未知の事柄を、こつこつ記憶に収めるという、地味で実直でメンドクサイ作業の連続です。決して「カンタン」に頭に入っていきません。

 そのうえ、忘れてはいけないのは、受験生のスタート地点は、有資格の数や備えた知識・経験によって、激烈に異なるということです。

 詳しくは「FP技能士ほど、受験生に大差のある資格もない」で述べています。

 簡単に言うと、「そら知ってんだからカンタンだわな」です。カンタン・カンタンという評価に惑わされず、彼我の知識量で難易度を測りましょう。

とにかく楽したい人のギリギリ合格法

 履歴書の資格欄がさびしいので、とにかく資格だけがほしい人とか、学校や会社等で興味はないのに受けさせられる人は、基本的なテキストと問題集を「1~2回」、本試験前の1週間前くらいから、“てきとー”にやっておけばいいです。

 先の述べたように、運と確率で点の取れる出題形式です。

 ざっと、テキストを読んで問題集を解いておけば、“てきとー”でも合格点ギリギリで受かります。

 もちろん、不合格となるリスクは高いですが、通る可能性も高いので、最も負担少なく合格を臨めます。

 何も身に付かないのでアレですが、星占いでラッキーウィークに突入してるなら、アレしてください。

2級を予定している人やしっかり勉強したい人

 3級以降に2級や1級を考えていたり、FP的なことをしっかり身に付けたいという人は、基本方針どおり、『テキストと問題集を、3回繰り返す』を目標に勉強してください。

 今ここで、しっかりと3級の内容を修めていると、スムーズかつストレートに2級に合格できます。2級の内容は、大半が「3級の焼き直し+α」だからです。

 そして、1級の学科のときにも、「救われる」でしょう。1級の学科はかなり難しく、2級・3級レベルの問題を1つも落とさず得点できると、格段に合格の可能性がアップします。

 また、FP的な知識を得たい人も、ここで広範囲にわたる「お金の知識」を得ておくと、今後の、血肉となるはずです。

 「知は力なり」で知らないと何も出来ないし、「知らないものは探せない」のも事実だからです。

 内容自体は単調ですが、きっと、節目節目・要所要所の「人生の選択時」に、強力に生きてくるでしょう。

 言ってしまうと、FP技能士3級の合否は問題ではありません。“試験が試験なので”、勉強時間が足りなくなっても、直前で過去問演習を機械的に繰り返せば、それで受かります。

 時間のあるうちだけでも、「運」には頼らない、しっかりした勉強をしておくことを勧めます。

 なお、『3回』やってみたが、まだ不安のある人は、公式で公開されている過去問のうち、直近の1年分か2年分を解いておけば、鉄板です。(古い年度になると、法改正等で実情にそぐわなくなっていることが多く、大昔の過去問を解く必要はありません。)

 試験勉強期間は、「3ヶ月から6ヶ月」を見ておくといいでしょう。

他資格ホルダーや、FP的知識・経験のある人

 FP技能士3級は、税理士や社労士、行政書士、宅建、管理業務主任者、簿記等々の資格があると、格段に有利になる資格です。

 また、生命保険や損害保険に入る際に、それなりに研究した人や、株式投資等の投資の経験のある人も、かなり有利になります。

 資格で勉強したことや身に付いた知識・経験と、試験科目の内容とが、かなり被っているからです。つまり、ほぼ学習済み状態になっている寸法です。

 科目によっては、“ほとんど当たり前”で“何をいまさら”で、何もしなくていい単元も出てきます。

 他の資格ホルダーや、FP的知識・経験のある人も、基本方針は『テキストと問題集を、3回繰り返す』ですが、自分の得意なところや知っているところは、飛ばして構いません。

 知っているところは、ほったらかしにしても、最終的な合否に影響は及びません。なぜなら、絶対に本試験で取れるからです。

 不安なら、『1回』そこそこ、ざっと目を通しておいて、気になるとこに付箋を貼っておき、直前の1週間前にやれば十分です。

 大事なことは、『自分の知らないことに一生懸命になる』ことです。そのための受験です。

 せっかくの勉強機会なのですから、自身の領域を増やすためにも、「知らない」ことにがんばりましょう。小学生じゃあるまいし、できる事を正解して喜んでいてはいけません。

 なお、『1~3回』やってみたが、不安がある人は、公式で公開されている過去問のうち、直近の1年分か2年分を解いておけば、鉄板です。(古い年度になると、法改正等で実情にそぐわなくなっていることが多く、大昔の過去問を解く必要はありません。)

 試験勉強期間は、「1ヶ月から3ヶ月」を見ておくといいでしょう。

学科の勉強方法‐「広く浅く薄く」が基本

 端的に言うと、学科の勉強方法は、『テキストや過去問に羅列されている、細々とした語句や数字を憶えるだけ』です。

 たとえば、住宅ローン控除について、テキストでは、以下のように述べられています。

 ①6ヶ月以内に、床面積の半分以上を居住の用に供する、②床面積は50㎡以上、③中古住宅の場合は築20年以内(耐火建築物の場合は25年)、④増築の場合は工事費用が100万円超、という条件を満たす住宅のローンを組んでいると、控除の対象になる、と。

 だいたい本試験ではこんな風に問われます。

 ①がらみでは、住宅ローン控除の適用を受けるには、「1年以内に住む必要がある」などと問題化されます。

 ②では、「床面積100㎡以上」とか、③では「新築住宅しか適用されない」とか、④では「増築には住宅ローン控除の適用はない」といった選択肢が出てきます。

 ですから、テキストの「6ヶ月」とか、「半分以上を居住の用」とか、「床面積は50㎡以上」とか、「中古住宅もOK」といった細々としたことを憶えることになります。

 大雑把な言い方ですが、3級の試験問題は、おおむね『基本事項が出題のメインで、ときおり、受験生を引っ掛けるためか、細かいことを聞いてくる』という塩梅です。

 ですから、テキストと過去問をしっかり消化して、基礎・基本的なことさえ知っていれば、学科は合格点の6割を確保することができるのです。

 「細かいことや深い」ことには拘泥せず、「広く浅く薄く」をモットーに、勉強していってください。

 だいたい、「細かいことや深い」ことは、出題者の悪意か、難易度調整用の設問です。

 ホント、「知ってさえいればいいだけ」なのがFP技能士の試験です。

 だから、『テキストや過去問に羅列されている、細々とした語句や数字を憶えるだけ』になるのでした。

 正直に言うと、「頭」をほとんど使いません。中身は「大人の言葉」ですが、やってることは小・中学生レベルの作業です。

 しかし、これには「大人の事情」があります。

 「『業際』という士業の壁‐FP技能士の試験勉強が「広く浅く薄く」になる理由」を参考にしてください。

実技ひとくちメモ

 「実技」と聞くと、不安を抱く人もおられるでしょうが、杞憂です。

 実技は、単なる「学科の延長」「学科の問題の言い方を変えただけ」なので、学科をシッカリ消化しておけば、問題ありません。

 敢えて、そして、強いて言うなら、法改正対策をしておこう、です。

 FP技能士の1級や2級まで考えている人や、向学心に溢れる人は、国税庁のHPから税法改正のパンフレット(PDF)を落としてきて、読んでおくことをお勧めします。

 当該PDFで、3級のみならず、2級や1級でも出題される「税法の改正問題」をカバーできます。

 2級や1級の勉強の「慣れ」にもなりますので、今のうちから、当該PDFの漢字と数字の洪水に慣れておきましょう。

 最初は文字と漢字と数字ばかりでウンザリですが、何度も見ているうちに慣れます。

 まあ正直、「受かるためだけ」なら、法改正対策は3級で要りません。

 余裕のある人や時間のある人が、参照してください。

 なお、社会保険関連の改正も頻繁に行われますが、非常に多岐にわたるので、よほど興味がない限り、捨てればいいでしょう。

 参考:国税庁‐税制改正の概要

基本的な日本語おk?

 FP技能士3級の計算問題では、最終的な解答を、以上や以下、未満やら越えるといった指示で処理させます。

 このため、計算過程はあっていても、最終的な数字の出し方を間違っていると、じっくり煮込んだカレーの鍋の蓋を取ろうとしたら予想以上に熱くてアチッと指を離した瞬間蓋が落下し鍋の端に当たりその衝撃で鍋ごとひっくり返ってワアアというような、徒労を被ることになります。

 意外に意外、忘れていたり勘違いしていたり、“勉強しているとこんがらがってだんだんわからなくなる”傾向があります。

 「「以下」「以上」「未満」「超える」」や「以下・未満の四捨五入+切捨て」を参照して、記憶を改めておきましょう。

 実はわたし、1級の学科のときにわからなくなっていて焦りました。

使用電卓について

 FP技能士には、電卓の持ち込みが許されています。

 しかし、注意すべきは、“ファイナンシャル”なのに、金融電卓の使用がダメな点です。

 参考:「金融電卓は、FP技能士に使えない

 ふつうの電卓を使うことになるので、注意してください。

FP技能士3級のこまごましたもの

 FP技能士3級に関するこまごましたことは、ブログに投稿しています。興味のある方は、「FP技能士:ブログ記事」をばご参考ください。

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