第34回‐完成工事原価報告書 過去問(令和6年3月実施)

まずは初めに結論を。一口で言うと。まとめ。要旨。

 本問は、『完成工事原価報告書』です。仕訳とT字勘定の意味の理解を問うている問題です。また、個々のT字勘定の繋がりも、問われています。シッカリ理解してください。できる人には、カンタンですが、計算ミスが怖いです。検算しながら解いていきましょう。

第3問‐完成工事原価報告書

 ◇問題◇

 

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解説

 結論から言うと、「答えはこちら」です。

 本問のレベルは「ふつう」です。

解答

 資料と解答用紙を熟読すれば、単純に、資料の数字を計算するだけなことがわかります。

 正直、難しい処理はありません。

 最も怖いのは、計算ミス。落ち着いて計算してください。

作業1

 まずは、解答用紙の1番目にある「未成工事支出金」から着手しましょう。

 借方の「前期繰越」は、「資料」にある「工事原価期首残高」に該当します。

 「資料」の材料費・労務費・外注費・経費の「工事原価期首残高」を集計して、記入してください。

 括弧書きの「人件費」は、完成工事原価報告書に使います。ここでは、計算しません!

作業2

 「未成工事支出金」を続けます。

 借方の材料費・労務費・外注費・経費は、「資料」の「当期の工事原価発生額」の個々の数字を記入していくだけです。

 「資料」を指差し確認しつつ記入してください。

 焦って、「工事原価次期繰越額」の方の数字を書かないようにしましょう。

 先と同様に、括弧書きの「人件費」は、完成工事原価報告書に使います。ここでは、計算しません!

作業3

 「未成工事支出金」を続けます。

 借方の集計をします。「17,230,000」となります。

作業4

 「未成工事支出金」を続けます。

 借方が終わったので、貸方の方に入ります。

 「次期繰越」は、「資料」の「工事原価次期繰越額 」が該当します。

 「工事原価次期繰越額」の材料費・労務費・外注費・経費を集計すると、「3,560,000」となります。

 貸借は同額となりますから、貸方の合計額も、借方同様に「17,230,000」となります。

 差額を求めると、「17,230,000-3,560,000」で、「13,670,000」となります。

 当該金額は、繰越されないもの、つまりは、完成したものなので、「完成工事原価」に振り替えられます。

 仕訳で表すと…、

 借方:完成工事原価 13,670,000

 貸方:未成工事支出金 13,670,000

 …となります。

 当該「完成工事原価」の記号は、「E」です。

 数字・記号を書き入れたら、「未成工事支出金」は、終了です。

作業5

 「完成工事原価」に入ります。

 当該完成工事原価のT字勘定の借方は、先の仕訳を考えるとすぐわかります。仕訳は…、

 借方:完成工事原価 13,670,000

 貸方:未成工事支出金 13,670,000

 …でした。

 んなもんで、記号は、「未成工事支出金」の「D」となります。

 んで、当該完成工事原価が向かう先は、「損益」です。記号は、「F」となります。

 仕訳で表すと…、

 借方:損益 13,670,000

 貸方:完成工事原価 13,670,000

 …となります。

作業6

 「完成工事高」に入ります。

 工事が完成したときの売り上げ認識の仕訳を考えましょう。

 解答用紙から、期中では…、

 借方:完成工事未収入金 15,500,000

 借方:××× ??????

 貸方:完成工事高 17,500,000

 …くらいの仕訳が切られたことがわかります。

 そこで、「×××」が何に当たるかを考えるわけですが、<勘定科目群>を見ると、「B 未成工事受入金」があります。

 前もって工事代金の一部を受け取っていて、工事完成の際に、振り替えたんだなーとの推測が立ちます。

 こうした次第で、「×××」のところは、「未成工事受入金」で、記号は、「B」となります。

 「??????」のところは、借方と貸方の差額「17500000-15500000」の「2,000,000」と求めることができます。

 よって…、

 借方:完成工事未収入金 15,500,000

 借方:未成工事受入金 2,000,000

 貸方:完成工事高 17,500,000

 …といった次第となります。

 T字勘定:貸方側に、「B」と「2,000,000」と記入しましょう。

 次に、T字勘定:借方側に進みます。

 借方ですが、「完成工事高」が向かう先(振り替えられるところ)は、「F」の「損益」です。仕訳で表すと…、

 借方:完成工事高 17,500,000

 貸方:損益 17,500,000

 …となります。

作業7

 「販売費及び一般管理費」ですが、そっくりそのまま、「損益」に振り替えるだけです。

 仕訳で表すと…、

 借方:損益 529,000

 貸方:販売費及び一般管理費 529,000

 …となります。

 よって、T字勘定には、「F」に「529,000」となります。

 「支払利息」も、同様の処理です。

 仕訳で表すと…、

 借方:損益 21,000

 貸方:支払利息 21,000

 …となります。

 よって、T字勘定には、「F」に「21,000」となります。

作業8

 「損益」の作業です。

 借方には、ここに振り替えられてきた…、

 E 13,670,000

 G 529,000

 C 21,000

 …を記入します。

 なお、Eは「完成工事原価」で、Gは「販売費及び一般管理費」で、Cは「支払利息」です。

 貸方は、「完成工事高」だけなので…、

 A 17,500,000

 …となります。なお、Aは、「完成工事高」です。

 貸借差額を求めて、繰越利益剰余金を計算します。

 「17500000-13,670,000-529,000-21,000」で「3,280,000」となります。

 これで、T字勘定の作業は終了です。 *

作業9

 「完成工事原価報告書」に入ります。

 計算の際は、下の画像のように、個々の科目ごとに、T字勘定を作って計算すると、頭がこんがらがらないです。

 

 「材料費」は、「186000+863000-292000」で「757,000」となります。

 「労務費」は、「765000+3397000-831000」で「3,331,000」となります。

 「外注費」は、「1735000+9595000-2326000」で「9,004,000」となります。

 「経費」は、「94000+595000-111000」で「578,000」となります。

 これらを集計すると、「57,000+3,331,000+9,004,000+578,000」で、「13,670,000」となります。

 最後に、「人件費」を求めます。

 「資料」から「9000+68000-12000」で「65,000」となります。

こたえ

 

 …と相なります.

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第34回

 インデックス

第1問:仕訳

 1問:売買目的有価証券

 2問:建物建設と約束手形

 3問:貸し倒れ処理

 4問:資本金組み入れ処理

 5問:完成工事高

第2問:文章問題

 1問:支払賃金・未払賃金

 2問:本支店会計

 3問:銀行残高調整

 4問:のれん代償却

第3問 個別問題

 1問:完成工事原価報告書

第4問 理論+計算

 理論問題

 部門費振替表

第5問 総合問題

 精算表:インデックス・ポイント

 精算表:設問1

 精算表:設問2

 精算表:設問3

 精算表:設問4

 精算表:設問5

 精算表:設問6

 精算表:設問7

 精算表:設問8

 精算表:設問9

 精算表:設問10

PDF過去問の閲覧

 結論から言うと、PDF形式の過去問でイライラしている人は、「タブレット」で閲覧する、といった次第です。

 

 当方、PDF過去問の閲覧には、12インチのタブレットを使いますが、「紙」の過去問と遜色なく、問題演習に集中できています。

 公式のPDF過去問は、スマホだと画面が小さくて問題文が読み難く、PCだとキーボードやマウス、配線等が邪魔で、かなりイライラします。

 本格的な“問題演習”には、「タブレット」が最も勝手がよく、ストレスが少ないというのが実感とするところです。

 PDFタイプの過去問演習でイライラしている方は、「タブレット」の活用を勧めます。押入れから出してみてください。

 なお、手許に「タブレット」がない人は、最もコスパの高い、アマゾンの「Fire HD」を推薦します。

 アンドロイド製のタブレットと性能が遜色ないくせに、値段は数割安く、もちろん、PDFの閲覧も可能で、コストパフォーマンスが秀逸です。

 とりわけ、スマホしか持ってない方に勧めます。小さい画面での問題演習は、倍疲れます。

 受験が終わっても、アレコレ使えますし、安価なサブ機としても使えます。これを機に「Fire HD」を買っても、損はないです。

独学向け教材

 教材の詳細は「教材レビュー」で述べていますが、読むのが面倒な方は…、

 簿記2級持ちの方は、ネットスクールの「建設業経理士 過去問題集&テキスト 2級 出題パターンと解き方」1冊で事が足ります。

 簿記3級持ちの方は、テキストと問題集は、TACの「スッキリわかる 建設業経理士2級」と「スッキリとける問題集 建設業経理士2級」を…、

 過去問には、「合格するための過去問題集 建設業経理士2級 」を使えばよいでしょう。

 建設業経理士2級は、市販されている教材が少ないので、大概、こうなるかと思います。試験会場でも、多くの人が同じような教材を手にしていました。

 ところで、電卓です。

 100円ショップで売ってるような、ぺらぺら計算機は計算ミスの元です。

 高品質な電卓を使っていない方は、「簿記検定試験の計算機(電卓)選び」や「売れ筋の電卓は、結局なに?」を参考に、買い換えてください。

 簿記2級では必須の高品質電卓と避けるべきペラペラ計算機

 左のがぺらぺらで、中と右が高品質の計算機です。絶対的に高品質の方が打ちやすいです。

 高品質な計算機

 考えるのが面倒な人は、わたしが愛用している「DF-120GT」にすればよいでしょう。これで支障ありません。建設業経理士もこれで受験しました。

建設業経理士2級のこまごましたもの

 建設業経理士に関するこまごましたことは、ブログに投稿しています。

 「建設業経理士の投稿記事」をばご参考ください。

 合格体験記は「建設業経理士2級の合格体験記」で、合格証書は「建設業経理士2級の合格証書」です。

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