「または(又は)」と「もしくは(若しくは)」

まずは初めに結論を。一口で言うと。まとめ。要旨。

 「または(又は)」と「もしくは(若しくは)」は、同じような接続語ですが、その「引っ付き方」は、大きく異なっています。接続詞の使い方に疎いと、法律の文章は読めないので、しっかりその意味を見ていってください。

 「または」と「もしくは」は、条文で実に多く多用されている接続詞です。

 当該「または」と「もしくは」の接続詞が顔を現したときは、どこからどこまでがその範囲になっているかを丹念に読み取りましょう。

 この辺りをずさんにすると、法律の文章がまるでわからなくなってきます。

ニュアンス的に大きい「または」

 よく似た言葉を覚えるには、頭で理解するよりも、感覚で把握するのが一番です。頭で覚えても、捻られた問題を出すとすぐに混乱してしまうからです。

 最初は感覚でいいです。論理演算をしだすと頭が絞られる感じがするので、まずは、感覚で意味を掴みましょう。

 そこで、「または」なのですが、「または」は、ニュアンス的に大きいと把握しておきましょう。


「または」は、大きい!

 こんな風に「または」を知っているだけで、理解は通常の3倍です。

 「または」は、大きく”引っ付く(接続していく)、てな塩梅です。

 A または Bなんて文言がたくさん出てきますが、「または」は「大きい」風なので「両方だ」ってな感じです。

 論地記号も同じように憶えても支障はありません。

 「A or B」の「or」の「または」は、「大きい!」で始末して、AとBの両方だ、ってな感じです。

ニュアンス的に小さい「もしくは」

 「もしくは」の感触は、「小さい」です。

「もしくは」は、小さい!

 「もしくは」が使われている言葉・語句は、“小さい”範囲に引っ付く(接続していく)、と感じておけば、間違いが少なくなります。

 さて、単体なら、このような読み方でいいのですが、問題は、両者が同一の文章に現れたときです。

 以下、その対策を述べていきます。

「または」と「もしくは」の例

 例文をあげて考えましょう。

 公務員であった者が、その在職中に請託を受けて職務上不正な行為をしたこと(A)または相当の行為をしなかったこと(B)に関し、賄賂を収受し(C)、またはその要求(D)若しくは約束をしたとき(E)は、5年以下の懲役に…

 -刑法197条(加重収賄及び事後収賄)

 こういう、接続詞が乱舞するややこしい文章は、先ず骨格を抜き出します。

 ①AまたはBに関して、

 ②CまたはDもしくはEをしたら、

 アレでアレです。

 …という「3構成」が、当該条文の骨格になります。

 ①AまたはBを前半部として、②CまたはDもしくはEを後半部として、以下に見ていきます。

前半部の「または」

 ・(A)職務上不正な行為をしたこと

 ・(B)相当の行為をしなかったこと

 これは普通に読めますね。AかBのどっちかなら、という意味合いです。

 「または」は大きいニュアンスなので、大きく考えて、Aの場合とBの場合の2つとも、「5年以下の懲役に」に掛かってくるわけです。

 もっと言えば、「どっちか片方」だけだったら意味的に「小さく」なってしまうので、『大きいまたは』にはそぐなわない、って塩梅です。

後半部の「または」と「もしくは」

 後半はややこしくなります。

 (C)賄賂を収受し、

 または

 (D)その要求

 若しくは

 (E)約束をしたとき、

 「5つ」で構成されています。

 答えを言うと、“「C」と「DかEのどっちか」”という意味合いで、数式で現すと“C OR [ D or E ]”となります。

 「または」は、ニュアンス的に大きいので、大きくひっつく(大きく接続していく)。

 「もしくは」は、ニュアンス的に小さいので、狭くひっつく(狭く接続していく)ってな塩梅です。

 賄賂を「収受し」たか、「要求・約束」をしたら、ってな意味合いとなります。

 ややこしいでしょうか?実は、簡単な読み方がありますw

「もしくは」は、コバンザメ風に読む

 だんだん頭がウニになってきました。

 試験技術的に言います。

 「または」が出てきても、そのままストレートに、普通の感じに読んでいきます。それで間違いはありません。

 そして、途中で「もしくは」が出てきたら、その前の語句にコバンザメの如くひっつけて読みます。

 先の例文『…要求もしくは約束をしたとき…』とあれば…、

 もしくはの後の「約束」を、前の「要求」にひっつけて、「要求“ペタッ”約束」という感じに、意味合いを掴むという塩梅です。

 こうすると、大きいや小さいをことさらに意識せずに、“C OR [ D or E ]”風に読むことができます。

「または」と「もしくは」の例 その2

 2つめの例文です。

 『五年以下の懲役または五百万円以上の罰金若しくは科料に処す。』

 五年以下の懲役に続く「または」は、そのまま読みです。

 で、続けて読んでいくと、接続詞の「もしくは」が出て来ます。このとき、「コバンザメ風に」罰金と科料を、「罰金“ペタッ”科料」ってな感じに、ひっつけて読むのです。

 言葉の意味的なカテゴリは、「五年以下の懲役」と「五百万円以上の罰金か科料」の分け方となります。

 このように、「もしくは」は、機械的な「ひっつけ読み」をすると、正確に文章の意図をつかむことが出来ます。

 ちなみに、「もしくは」が小さいというのは、従属的であるという意味で小さいとしてます。

 「または」と「もしくは」を取り違えると、全く意味の異なった文章になるので注意です。

 先ほどの例文の「または」と「若しくは」の意味を取り違えると…

 「五年以下の懲役か五百万円以上の罰金」と「科料」という不公平な分け方になっちゃうので、 誰だって、科料のほうがいいがやーという事態になっちゃいます。

 実感として、「または」は普通の読み方でいいのですが、「もしくは」が出てきたときはちょっぴり注意して、「コバンザメ風に引っ付ける感じ」で読んでみてください。

 ※ お手数ですが、不備や間違い・勘違いがあれば、是非ともメールを下さいませ。

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