このページでは、法律用語「条件」と「期限」を説明していきます。
「条件」と「期限」という用語は、おそらく、民法で初遭遇する方が多いように思いますが、大方の人は、これら2つの言葉を深く考えたことはないかと思います。わたしもそうでした。
「条件?期限?そういうもんだろー」で生きてきたわけですが、これが「法律」となると、微妙に意味合いが異なってくる塩梅です。
まあ、試験で問われることはないと思いますが、「なるほどー」と思ってしまうので、お目汚しをば。
さて、「条件」と「期限」の共通する意味は…
法律行為の効力の発生または消滅を、将来の事実にかからしめる一定の制限、ということがです。
一口で言えば、「あーしたら、こーする」「あーなったら、そーする」です。
「条件」の具体的な例としては、「テストで100点取れば、100円をあげるという約束」です。
将来的に、テストで100点を取るという“事実”が起こったときに、100円をあげる約束(贈与契約・法律行為)を発揮させるという意味です。
「期限」の具体的な例としては、「あさってに100円あげるという約束」であります。
「あさって」という期限が制限で、当該制限が解除されるその日時が到来したら、「100円あげる」という約束(贈与契約・法律行為)の効果が発揮される、という寸法です。
「条件」は、将来の不確実な事実の成否にかかってきます。先ほどの例のように、テストで100点取るかどうかは、未知数です。
取れるかもしれませんが、絶対に取れるかどうかはわかりません。
このように、法律行為の成就(消滅)に、不確実な事実によらしめるときに、「条件」という言葉をあてます。
「期限」は、読んで字の如く、期限ですね。
“期限”ですので、時間が経てば、間違いなく「その日」はやって来ます。
1年後にあげる、という約束をしたときに、制限期間である1年という時間は、1年後に必ずやって来ます。
このように、将来的に到来するのが確実な事実によらしめるときに、「期限」という言葉をあてます。
借金の返済は、大概が「○月○日」といった日時で切られています。
さて、それはどうしてか?
理由は簡単ですね。「期限」は必ずやって来るからであります。
返済の条件を、たとえば、「売上1千万超」とか「規定通りのボーナスが支払われた際」とか「○○クジが当たったら」などという「条件」にすることもできるのです。現行法は、“自由契約”ですから。
でも、貸し手側がそうしないのは、「条件」にしてしまうと、成立が不確定だからです。しかし、一方の「期限」は必ずやってきます。
わたしは、江戸期の農村指導者:二ノ宮尊徳(にのみやきんじろう)が行った農業政策のうち、農村内に「講」を創設したのが一番優れていると思います。村外部からの借金の形式を変えて、金銭(資本、運転資金)を村内部で何とか融通できるようにしたからです。
借金が、借り手を疲弊させるのは、まさに「確実にやってくる期限の契約」だからです。しかし、農業と言うのは、純お天気商売で、天気がどうなるかなんて誰にも決めれない「不確定なもの」です。
「確実」と「不確実」が争えば、やはり、「確実」に軍配は上がるでしょう。そら田畑を売り払う農民は、統計的・確率的に増えますわ。
金融は、薪を背負って本を読む勤勉さだけで、凌げるものではありません。この意味で、二ノ宮尊徳は、実に近代的な指導者であったと思うのでした。
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