| カテゴリー: 過去のススメ |
記憶力が弱くって、といってお嘆きの方もおられるかと存じます。
しかし、記憶というのは、結局的に回数なのでございます。
一度見たら忘れない、というのは、ごく稀なお人でありまして、済ました顔をしている受験生の大半は、四苦八苦、見えない努力を積みかさねて覚えているものでございます。
結局は、あなた様の努力不足なのでございます。
しかし、わたくし思いますに、「記憶力が抜群」という人より、何でも忘れてしまう人のほうに愛嬌を憶えるものでございます。
忘れない人、いや、正確にいいますと「忘れない体質」の人というのは、どうにも付き合いにくいものでございます。
忘れない体質というのは、執念深い人ということができましょう。とにかく、昔のことを鮮明に覚えているお人でございます。
特に、怒り、憎しみに関して忘れないことが顕著でございます。
何度も同じ話を持ち出してきます。聞く方としては、ヤレヤレでございます。
正直な話、こうした執念深い人は、記憶力はよいかもしれませんが、何かと病気を抱えているものでございます。
それか、早死にいたします。
戦国時代の織田信長という人は、実に執念深かったと申します。
突然、部下を呼び出して、10年前の失態について問いただすのでございます。
いわれた本人が何のことかわからないことを持ち出して、叱責し、果てに追放するのでございます。
結局、信長の執念深さが怖くなった部下の明智さんに弑.逆されたのでございます。己の執念深さが寿命を縮めたと申せましょう。
よくよく記憶力がよいという人を観察してみてください。どこか持病を抱えているか、不安定なところ、弱いところが見え隠れするのではないかと存じます。
記憶力がよいというのは、忘れられないということでありますから、心中に何かと抱えているものでございます。
その点、記憶力が弱いわたくしたちは、恵まれているものでございます。ときどき、自分の電話番号や住所、恋人や配偶者の名前まで忘れるほどでございます。財布や携帯でさえ、どこかに忘れるほどでございます。
自分の名前まで忘れたとき、わたくしたちは人間として完成することでありましょう。
忘れるということは、水に流せるということでございます。たとえ心の中に、ねとねとしたものが生じてもスグに忘れて気持ちよく生きれる体質であるのでございます。
そう考えれば、記憶力が弱いというのも、なかなか捨てたものではないなと思う、今日この頃のわたくしでございます。
人生とはよくできております。必ずつじつまが合うのでございます。
忘れるのも
2008年2月6日 5:46 PM
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