1級陸上特殊無線技士(1陸特)の計算問題の勉強方法で、主に文系向けアドバイス。文系ド素人でも挫折しない、計算問題の勉強の進め方を述べる。端的に言うと、「脂汗→脳汁→白目パス」で、脂汗や脳汁が出るものは極力勉強し、白目になるものは完全放棄する、という手合いである。
「計算問題を捨ててはいけない理由」でも述べていますが、1陸特では、計算問題を捨ててしまうと、格段に厳しい試験になります。
なぜなら、「正解率8~9割」を達成しなければならなくなるからで、合否は「運」次第。穏当に、落ちるでしょう。
そのため、文系ド素人でも、計算問題で、2問~3問くらいは、取れるようになっておかねば、合格できません。
しかし、あの計算問題をまっ正面から攻めると、あっという間に消耗して、嫌気が差しに差し、やる気も意欲も、3分も持たずに全滅です。草も生えません。
そこで、文系ド素人でも、挫折しない計算問題の進め方と、勉強の要領とを、適当かつ曖昧に述べていきます。
キーワードは、「脂汗→脳汁→白目パス」です。
序盤の試験勉強では、計算問題を飛ばします。
公式や数式が、目に入っても、一切無視します。
その理由は、「疲れるから」と、「しなくても支障がないから」です。
詳細は以下の通り。
最初に、計算問題や公式・数式を無視するのは、知識問題の勉強と、計算問題とのそれを、いっしょくたにやると、脳がひどく疲れるからです。
計算問題とは、言うなれば「論理」で、知識問題とは「記憶」です。
「論理」と「記憶」とでは、脳を使う場所が異なるのでしょう。
一緒の時間帯・近い時間に両者に接すると、物凄く疲れて、ふらふらになるのです。
当方は、いっしょくたにやったために、疲れに疲れて、試験勉強を一時、やめてしまいました。
ですから、文系ド素人の方は、最初は無理をせず、計算問題や公式・数式からかなりの距離を取るのがベスト、という寸法です。
配偶者のように、嫌なものは遠巻きにする、という次第です。
中には、公式や数式を理解しておかないと、他の問題が解けないのでは?と思う方もおられるでしょうが、それは杞憂です。
数式や公式を理解していなくても、問題はぜんぜん解けます。
言うなれば、「知識問題」と「計算問題」とは、相互に関与しておらず、それぞれは全くの別個の問題となっています。
もっと言うなら、数式や公式を憶えたら、知識問題の負担が軽くなる、というわけでもありません。先述するように、それぞれは「全くの別物」だからです。
また、公式や数式を理解しないと、先々の章の問題が解けないのでは?と考えている人もおられるでしょう。
その危惧は少しだけ当たっています。
しかし、そういう事情下にあるのは、「たった1つ」だけなので、安心してください。
唯一、『ログ計算(デシベルの対数計算)』だけは、多くの章・単元で顔を出すので、その要領を理解しないといけません。
しかし、これ以外の数式や公式は、当該章なり単元だけでの出題で、当該章以外では、顔を出しません。
このように、最初は、計算問題の公式や数式を無視しても、大きな影響は絶無です。
安心してバンバン飛ばします。
「無線工学」の知識問題が、そこそこ解けるようになったら、「苦の巣窟」の計算問題に足を踏み入れます。
しかし、いきなり難解なものには、近づいてはいけません。
差し当たっては、オームの法則など、中学レベルの計算問題を、練習していきます。
ミルマンの定理などなど、眩暈がするものは、即効「後回し」です。
「鼻」を効かせてください。
(あ、これカンタンそう)という感じを大事にしてください。
先も言ったように、数式や公式は、「別個に独立」しており、ある理論がわからないと、他の理論が理解できず、そのため勉強自体が詰む、ってな事態には到りません。
ですから、『できそうな問題に絞って』勉強すればいいです。
無理して、強力な公式や数式に挑戦しなくてもいいです。
自分の力量に合うものから、制覇していきましょう。
なお、文系は、オームの法則くらい「できる」などと、露ほどに思ってはいけません。
本試験となると、なぜか不思議なほど、解けなくなります。
当方、本試験にてワットの計算問題が出ましたが、自分でも不思議なほど、(アレ、どうしてこんな問題が解けないのだろう?)と、解けなくなりました。
本試験となるとテンションが上がるためか、脳が動きません。油断せず、練習を徹底します。
オームの法則や、コンデンサの接続など、まだしもできるものに慣れてきたら、計算問題の定番中の定番、「ログ計算(デシベルの対数計算)」の突破を目指します。
当該ログ計算は、1陸特の計算問題で、姿かたちを変えてよく出るので、ログ計算のやり方にさえ習熟すれば、確実に1問を、最終得点に加えることができます。
文系の脳でも、当該ログ計算は可能なので、毎日毎日、時間を見ては問題を解きます。
なお、繰り返しますが、多少できるようになっても、絶対に油断できません。
慣れないことは、すぐに忘れて、スッコーンと、頭から飛んでいくからです。
2~3日サボれば、(7デシベルの真数Gって、どうやったけ?)となります。
毎日必ずログ計算に接して、身体に憶えさせます。
「教材レビュー」にて紹介する過去問の背表紙には、デシベル計算に必要な対数計算の基本が掲載されているので、とても参考になるかと思います。
慣れないログ計算に、ねっとりとした脂汗がどろどろと流れますが、人間、1~2ヶ月なら、苦にも耐えられます。
カンタンな理論やデシベル計算に慣れてきたら、次に、シンプルな数式・公式に限定して、さわやかな脂汗を流しましょう。
たとえば、方形導波管の遮断波長λ(らむだ)や、半波長ダイポールアンテナの実効長等々です。
前者のλは、横のaに2をかけるだけだけですし、後者の実効長は、「h=λ/π」だけです。
なお、波長の計算は、「c=f/λ」です。c(電波の速さ)は、「3×10の8乗」です。
上記波長の計算は、文系がドツボに嵌るところなので、このページをブックマークに入れ、必ずその日のうちに丸暗記してください。
「絶対利得G」も、まだできます。「G+2.15」だからです。
「幾何学的な見通し距離」も「標準大気中の見通し距離」も、まだできます。√のh1とh2を足して、3.57か4.12を掛けるだけだからです。
分流器と倍率器の計算も、文系可です。rに(n-1)を掛けるか、割るかするだけだからです。
…まずは、ここまでです。
“目と頭と心にやさしい”公式や数式に遭遇したら、とろみのある脂汗を滲ませながら、制覇してください。
なお、数式や公式に出てくるギリシア文字の読みがわからない人や、いちいち調べるのが億劫な方は、「1陸特のギリシア文字の読み方‐文系ド素人向け」をば、お目汚しください。
ある程度、簡単な公式や数式が頭に入ったら、『よくよく本腰を入れて考えたらできる』公式・数式に限定して、無理せず、少しずつ、1つ1つ制覇していきます。
言うまでもありませんが、難しいのはパスです。
文系は、「無理をしたら即、挫折」です。アリさんの歩みで、「要塞」に向かいます。
また、大量かつ一時に、勉強しません。
公式や数式の1勉強あたりの容量・用法は、医薬品並みに扱わなければなりません。
『よくよく本腰を入れて考えたらできる』とは、考えに考えて、ノートやチラシの裏に書き出していけば、何とかわかる、といった次第です。
たとえば、「等価雑音電力」や「等価雑音温度のT」、「2段増幅器の雑音指数」や「2段増幅器の等価雑音温度」などなどです。
「負帰還回路の増幅度」も、考えたらできます。
また、過去の本試験では、ときおり、数式や公式がそのまま出題されることがあります。
理解できなくても、そういうものは、押さえておくのが無難です。
たとえば、「反射係数のΓ」や「定在波比(SWR)」などです。
前者は、「√M1/√M2」だけですし、後者は、「1+Γ/1-Γ」と、“何を言っているのかわからない”けれども、公式自体を憶えてしまいます。
そのほか、「平行二線式線路の特性インピーダンス」や「同軸ケーブルの特性インピーダンス」も、呪文を唱えるが如く、記憶します。公式そのまんまが過去問に出たことがあるからです。
ややこしくて脳汁が出まくる、「絶対利得G倍の指向性アンテナによる自由空間内の電界強度」や「相対利得G倍の指向性アンテナによる自由空間内の電界強度」、「自由空間における電波の基本伝送損失Γ」なども、腰を落ち着けて脳を酷使すれば、問題だけは解けるようになります。
数式や公式には、「一見すると何がなんやら」のものがありますが、噛み砕くと、この数字とこの数字を、割ったり掛けたりするだけ、というシンプルなものが多数あります。
それらを、少しずつ、脳に入れていく、といった塩梅です。
あまりのわからなさに、脳汁が分泌されるでしょうが、人間、1~2ヶ月なら苦役に耐えられます。
最終段階です。
脳が限界に来て、脳汁が出まくる苦痛を憶えるでしょうが、本試験のそのときまで、我慢してください。
しかし、我慢は有限です。
何度読んでもわからないものや、理解するのに時間がかかるもの等々、白目をむくものは、完全に捨ててしまいます。
当方は、「RLC回路のアドミタンス」や「複素数によるインピーダンス・アドミタンス」やら「共振回路」など、理解の土台が欠如したものは完全に捨て、一瞥だにしませんでした。
こういうのを「白目案件」といいます。
“一切、できそうにない感じ”は、実に正確です。
(あ、こいつはダメ)、と直感したものを、無理に勉強すると、白目をむいて、試験勉強そのものを放棄しかねません。
何度も白目をむくのは、身体に毒です。
白目の計算問題は、潔く完全に捨てて、少しでも手に負える“脂汗や脳汁の”公式・数式を、頭にねじ込んで行ってください。
ここまでやっておけば、計算問題で2~3問は取れて、最終得点にかなりの余裕が生まれるはずです。
当方は運よく、無線工学で『20問』取れたので、効果はあると思います。
1陸特に関するこまごましたことは、ブログに投稿しています。
「 陸上特殊無線技士の投稿記事 」をばご参考ください。
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