ディレクトリ型学習的テキスト読解

ディレクトリ型学習のテキストの読解方法を紹介します。学習では、問題演習を通じて、徐々に語句や理解を深めればいい、というスタンスです。学習の初期は精読をやめて適当に読んでいきましょう。

はじめに−まずはテキストにありき

ディレクトリ型学習は、要するに『自分が覚えやすいようにしっかり整理・整頓しながら勉強を進める』ことです。ココで紹介するテキストの読み方は3つです。たった3つなので、すぐに学習に組み入れる事ができます。

適当読み  偵察の3か条
精読  残敵掃討戦
重要な事  合理的に読むために

適当読み

「適当読み」とは、読んで字の如く、適当にさーーーーーと目を通す読み方です。新しい分野、章に入ったときは、この「適当読み」で内容を偵察します。これは「偵察」です。テキストの内容はわからなくて当然ですので、読み流しましょう。何があるかさえ、把握できればいいのです。

偵察の3か条-適当読みのときにやっておく事
 その1 数字の記入
この適当読みのときに、各単元についてメモを書き込みます。それは、こうした資格試験にある「要件」や「条件」の数を数えるのです。

原則:「〜〜〜〜〜である。」
例外:「しかし、以下の場合には、〜〜その限りではない。1・・・、2・・・、3・・・」

とテキストに書かれていたら、上記原則の近くに「例外は3つ」と書きます。学習が進んだ時、これが効いてきます。わざわざ何をするか、調べてなくていいからです。ああ、この規定は例外3つ押さえればいいのか、というわけです。
 その2 難しい漢字・長ったらしい語句はルビを打ったり、語句を切り分ける。
人間はすぐに読めないものは、覚えも悪いようです。資格試験にはときどき、長ったらしい、ほとんど日常では使わない語句が出てきます。
わたしが最近の勉強(これを書いているときは通関士)で出会ったのは
「到着即時輸入申告扱い」です。
一度見ただけで、わかりようがありません。そこで、
「とうちゃく そくじ ゆにゅう しんこくあつかい」とルビを打ちました。
このように、自分の触れた事のない長ったらしい語句が出てきた場合はルビを打ちましょう。
「到着 | 即時 | 輸入申告 | 扱い」、このように語句の間に線を入れて、頭になじみやすくする方法もやっています。
 その3 重要項目の文章がわからなければ、英語のように読み解く。
テキストには「ここがでる!」みたいに条文や説明文を上げていますが、だいたい、この「でる!」と強調されてる所は「基本」的なことなので、覚える必要があります。
その論理構造がさっぱりつかめなかったときは、英語の「S V O」、主語・述語・動詞・名詞を抜き出してみましょう。
法律にはこの、
英語的主語述語抜き出し法をやっておくと、アタマが混乱しにくくなります。ココからが主語、でここまでが動詞・・・このように処置しておくと、この 重要な文章に再び触れたときにスムーズにアタマに入っていきます。

精読(部分精読・全体精読)

テキストの「精読」は、ある程度問題演習が進んだ時点で行ないます。
というのも、何回も問題演習を繰り返していくと、重要な所・自分の弱い所・間違った所がわかってくるので「メリハリ」のある読み方ができるためです。

メリハリをつけないでだらだらとテキストを読むのは、ナンセンスです。

『部分精読』は、問題演習のあとでアタマが少し混乱しているときに行ないます。問題演習は「よく似た規定」や「よく似た語句」との戦いといっても過言ではありません。

そのため、どうしてもアタマが混乱してしまうので、それをすっきり整理するために、この「部分精読」=問題演習した所のテキスト該当箇所、をやります。知識の整理と、復習を兼ね備えており、非常に合理的です。
この精読中にどうやったら覚えやすいか「語呂合わせ」もあわせて考えれば効果的です。

『全体精読』は、学習の節目節目で行ないます。例えば、「1章」をやり終えた、問題集もその章については何回もやった、ことがあげられるでしょう。このときに全体精読をすると、忘れていた語句・注意などを拾うことができ、さらに知識を強固なものにすることができます。

この精読は、問題演習を繰り返し、間違ったらテキストで確認、という地味な行為を続ければ続けるほど、読み時間が短くなります。時間が短くなれば、1回の学習時間中に何回も目を通す事が可能になります。

記述式の出題形式のある資格は、この精読時に「語句」の記憶維持や新規追加を行ないます。わたしのやりかたは、テキストを読みながらえんぴつを持ってメモ用紙に気になる語句を書き出していました。

これは、もちろん「記述式」の問題集をやったあとです。問題集をやった後だと「出題のクセ」がなんとなくわかっているので、ココが臭そう、とメリハリをつける事ができるのです。

重要な事

以下は、ある英単語帳の「キャッチフレーズ」だった気がします。

これまでの英語の単語帳は、「A」から始まって、次は「B」、「C」と続き・・・「Z」の順番で単語が掲載されていました。しかし、試験にでる英単語はそんな順番で出るものではない、だから、出る順番にまとめた、というのです。

この英単語帳の作者は、「A」のつく単語はよく知っていても、「M」や「P」といった中間層になると弱い受験生が多いことを知ったので、試験に出る順の英単語帳を作ったそうです。

わたしはこのエピソードから、「テキストなんて必ずしも、最初のページから読む必要なんてない」と悟ったのです。

30個 30個 15個 20個 80個

英単語の数が、上記の表だったとします。あなたなら、どのアルファベットからしますか?

わたしは「C」の15個からやり始めます。やさしいところ、簡単なところからやるのが好きだからです。中には、一番単語数の多い「E」からやる人もいるでしょうね。

資格勉強のテキストも、立体的に考えてみませんか?

暗記型資格のテキストは、最初から読む必要はないです。むしろ、問題演習の参照先・参考文献として位置付けましょう。というのも、テキストの内容で、最も重要なのは「試験に出るところ」です。試験に出るところを、しっかり意識して読むべきなのです。

じゃあ、どこを意識してしっかり読めばいいか?それは、過去に問われた所や問題で問われた所です。ですから、過去問や問題集をやった後で、テキストをしっかり読んだとしても遅くないのです。

小話

いろんな出版社からテキストが出ています。ですが、よく比較してみれば、どのテキストも構成は同じですよね?・・・社労士の労働編のテキストなら最初は「労働基準法」・・・行政書士の法令のテキストなら「憲法」。

これ、別に意味や深謀遠慮があるわけではなく、おそらく、その資格の試験要項の課目の順番に並べているだけです。意味はないです。資格のテキストは、合格するために利用するのですから、簡単に理解できて得点できる箇所から読むべきでしょう。

テキストを最初からやる合理的理由はほとんどありません。理想的に言えば、学習しやすく得点を取りやすい箇所から始めるのがベストです。

勉強の最初のほうはわからないので、自分の比較的興味の持てるところからやれ、というのはそういうことなんです。

ページの先頭に戻る ホームに戻る