9問‐H30の過去問と解説

まずは初めに結論を。一口で言うと。まとめ。要旨。

 第9問は、「相殺」の問題です。基礎・基本的なものばかりなので、難しいところはありません。テキストと過去問を繰り返しておけば、まず、取れます。

9問‐相殺

 

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難易度・優先順位ひとこと

 本問のレベルは「ふつう」です。

 取れる問題です。間違えたら、必ず、復習しておいてください。

 本問の答えは、「こちら(記号のみ)」です。

解説

 本問は、「正しいもの」を選ぶ出題形式です。

 問題文に、細かい指示があります。

 「Aは、平成30年10月1日、A所有の甲土地につき、Bとの間で、代金1,000万円、支払期日を同年12月1日とする売買契約を締結した。」と、「日付」が出ているので、時間軸を、余白に書いて、選択肢に当たりましょう。

 なお、本問には、類似問題があるので、後述する「参考リンク」を活用ください。

選択肢1

 選択肢1の「BがAに対して同年12月31日を支払期日とする貸金債権を有している場合には、Bは同年12月1日に売買代金債務と当該貸金債権を対当額で相殺することができる。」ですが、誤った記述です。

 Bが相殺するには、債権の弁済期が到来している必要があります。

 当該債権の期日は、12月31日であるので、12月1日に相殺することはできません。

 よって、選択肢は、「誤」となります。

選択肢2

 選択肢2の「同年11月1日にAの売買代金債権がAの債権者Cにより差し押さえられても、Bは、同年11月2日から12月1日までの間にAにする別の債権を取得した場合には、同年12月1日に売買代金債務と当該債権を対当額で相殺することができる。」ですが、誤った記述です。

 判例では、債権が差し押さえ後に取得されたものでない限り、相殺を主張できる、と解されています。

 本問では、11月1日に債権が差し押さえられています。

 んで、Bは、11月2日から12月1日までの債権を取得したとあり、明らかに、「差し押さえ後に取得された債権」となっています。

 んなもんで、相殺はできないと、いった寸法です。

 よって、選択肢は、「誤」となります。

 まあ、復習だけは、しておきましょう。

選択肢3

 選択肢3の「同年10月10日、BがAの自動車事故によって被害を受け、Aに対して不法行為に基づく損害賠償債権を取得した場合には、Bは売買代金債務と当該損害賠償債権を対当額で相殺することができる。」ですが、正しい記述です。

 不法行為に基づく債権は、基本的に、一般的な債務と、相殺はできないことになっています。現実の弁済を供するためです。

 しかし、判例では、不法行為の被害者が、その債権を自動債権として相殺する(要は、被害者の方から相殺を主張する)ことは、可能と解されています。

 よって、選択肢は、「正」となります。

選択肢4

 選択肢4の「BがAに対し同年9月30日に消滅時効の期限が到来する貸金債権を有していた場合には、Aが当該消滅時効を援用したとしても、Bは売買代金債務と当該貸金債権を対当額で相殺することができる。」ですが、誤った記述です。

 選択肢の場合、Aが消滅時効を援用した時点で、Bの貸金債権は、消滅します。

 債権が消滅しているわけですから、当然、相殺できません。

 よって、選択肢は、「誤」となります。

答え

 「1」は「誤」です。

 「2」は「誤」です。

 「3」は「正」です。

 「4」は「誤」です。

 本問は、「正しいものはどれか?」ですので…

 正解:3

 …と相なります。

 >>> 次の問題へ。


参考リンク

 当該年度のぜんぶの問題(1~50)のリンクは、「こちら」です。

 当該年度の「権利関係」だけ、問題演習をしたい人は、「H30 権利関係一覧リスト」を、ご利用ください。

 当該論点の勉強には、「民法「判例」の過去問リスト」を、活用ください。

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 まだまだ問題が解き足らない方は…、

 「管理業務主任者 民法一覧」の方も、活用ください。

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宅建のこまごましたもの

 試験勉強については、「宅地建物取引士(宅建)の独学」を、参考にしてください。

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