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はじめに-石田禮助さんとは?石田さんは、元三井物産の商社マンで、各種商品の現物・先物の取引を行ってきました。そのほとんどに成功した凄い人です。タフガイ。 ビジネスマンとしてほとんどを海外に過ごす。のち、誰も引き受けたがらない国鉄の総裁職に就き、各種の行政改革を進めた。 ・・・以上が、石田さんのざっとした履歴ですが、これだけではまったく面白くないですね。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 読んだのは、城山三郎さんの「粗にして野だが卑ではない―石田礼助の生涯」です。出版社は文春文庫です。 作者が城山さんなので、文体はやわらかくて温かみを感じます。 粗にして野だが卑ではない国鉄総裁になったときの年齢は、78歳。 うむ、ありえないw 一番惹かれた点はタイトルにある、「粗にして野だが卑ではない」というフレーズです。 粗ですよ−抜けてますよ。適当ですよ。 野ですよ−野蛮?!ですよ。ずけずけ言いますよ。 でもね、卑しいことはしてないですよ。 そんな生き方に、なるほどねぇと思ったわけです。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− ガタガタガタガタ、周りを穿ちながら生きている人にとっては、爽快な気分がえら得られます。 石田さんは、簡単な人物紹介で述べたように、そのほとんどを海外で過ごした人でかなりの合理主義者です。 合理主義者ながら、その冷たさを感じず、さわやかなナンデスヨね。 逆に言えば、切れ者といわれるような冷たい合理主義者では、あまり物事をなす上でよろしくない、と。 温かみを持った合理主義もある、ということを学びました。 先ほどのわたしの好きな言葉、「粗にして野だが卑ではない」ですが、この短い言葉にも合理主義的な面が見えます。 「状況やら何やら、周りをきょろきょろ気を使ったりしてるけど、それでウマクいったの?ウマクいってないなら、やめたらいいじゃんw」 「うまく行くように考えろよ」 そんな、合理主義者的に、物事を成し遂げようとする考え方が好きです。 「ガタガタ、あーだこうだ言う前に、とっととやればいいんですよ。」 「要するに、こういうことやろ」 そんな風に言っていた人ではないかと、独り思っているところです。 さいごにこの本を好んだのは、やはり、「粗にして野だが卑ではない」という言葉があったに限ります。 変な上品さや、プライドが邪魔してウマク行かなかったことはありませんか? 粗でいいじゃん、野でいいじゃん、てな感じで重荷がなくなると思います。 最後に、合理主義者ながら、78歳の高齢で国鉄の総裁に就任した石田さんの馬鹿げた生き方にも愛着も覚えるのです。 本書の中でも書かれているので、就任直後の国鉄の状況は省きますが、あんなときの国鉄のよく入ったなと。 松下幸之助も断るくらいの難事業に、まあ、よくやるわと。 本当は断るのが合理的なのに、敢えて就任するというのがカコイイのですよね。明治時代の人のダンディさを想ったのでした。 人はその生き方で、78歳でもヤングでいられるんですよね。 何度も繰り返しますが、「粗にして野だが卑ではない」という言葉は、アレコレ解釈できるので、楽しくて奥行きの深い言葉です。
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