甲種公式過去問解説

まずは初めに結論を。一口で言うと。まとめ。要旨。

 危険物取扱者 甲種の公式過去問の第17問目の解説。第17問は、「燃焼」を問う問題です。1問で2論点が出る難問で、理系の人なら大丈夫でしょうが、文系だと白目を剥く問題です。が、このくらいは解けるようになっておくと、合格が見えてきます。駆使する公式は、基本的なものなので、問題演習を繰り返してください。

17問‐燃焼

 

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難易度コメント+こたえ

 本問のレベルは「難」です。

 本問の答えは、「こちら(番号のみ)」です。

解説

 「燃焼」の問題です。

 文系には、厳しい問題ですが、甲種では、このくらいの問題が出ます。

 まず、基本的な化学式は、たとえば、本問のようなメタノールやエタノール、酢酸、ギ酸、アニリン、アセチレン、ベンゼンといったものの分子式(または、示性式)は、暗記しておきます。

 甲種試験では、もはや、分子式が示されないので、憶えてないと、門前払いになってしまいます。

 勉強すれば、文系でも取れるので、しっかり、やっていきましょう。

 でもまあ、正直、本問は、文系にとっては、「捨て問」かと思います。

 燃焼式とボイル・シャルルとの連続攻撃は、文系には、無理です。

分子式(または、示性式)

 メタノールですが、これは、メタン(CH4)にヒドロキシ基(-OH)がひっついたものですから、「CH3OH」となります。

燃焼式

 メタノールの燃焼式を求めます。

 出題者は意地が悪いなと思うのは、当該メタノールは、そこそこメンドウだからです。

 エタノールとかならすぐ燃焼式が完成するのに、わざわざ、メタノールを問題に使うところに、底意地の悪さを感じます。

 まず、メタノールの燃焼式の答えから言うと…、

 2CH3OH + 3O2 → 2CO2 + 4H2O

 …と相なります。

 文系の人は、落ち着いて、両辺の数字合わせをして下さい。

燃焼式からmolを求める

 問題文は、「メタノール3mol」が燃焼するときの酸素の体積を問うています。

 燃焼式は…、

 2CH3OH + 3O2 → 2CO2 + 4H2O

 …でした。

 つまり、「2mol」のメタノールが燃えるとき、「3mol」の酸素が消費される、ってな寸法です。

 当該「2:3」の比率を使えば、問題文の「メタノール3mol」燃焼時の酸素のモル数がわかります。

 エタノールと酸素の比率が「2:3」なのですから、「3:4.5」となり、「メタノール3mol」なら「酸素4.5mol」と相なります。

ボイル・シャルルの法則

 さて、問題文の但し書きには、「0°C、1.013×105Pa(1気圧)での気体1molの体積は、22.4リットル」とあります。

 んで、本問では、「常温20度」のときの体積を問うています。

 んなもんで、おなじみの「ボイル・シャルルの公式」から、常温20度での1molの体積を求めることになります。

 20度での体積を「X」とします。

 ボイル・シャルルの公式は、「PV/T」なので…、

 1.013*105*22.4/273=1.013*105*X/273+20

 右の足し算をまず消化して…、

 1.013*105*22.4/273=1.013*105*X/293

 「*105」のところは、両方にあるから消去できるので…、

 1.013*22.4/273=1.013*X/293

 …と相なります。

 「1.013」のところも両方にあるので、消して…、

 22.4/273=X/293

 …と相なります。

 後は、小学校高学年の計算をします。分母部分をそれぞれに掛け…、

 293*22.4=273*X

 式をまとめると…、

 6563.2=273X

 …となって、Xは…、

 X=24.041025…

 …と相なります。

 これで、20度での体積は、「24.04…リットル」だとわかりました。

燃焼式からmolを求める

 燃焼式から、エタノールと酸素の比率は、「2:3」です。

 本問のケースでは、「メタノール3mol」なので、「3:4.5」となり、「酸素4.5mol」と相なります。

 んで、先に見たように、20度での体積は、「24.04リットル」でした。

 んなもんで…、

 24.04*4.5

 …と相なります。

 よって、「108.1846…」と相なります。

まとめ

 本問は、「体積として、次のうち最も近いものはどれか?」の問題です。

 「108.1846…」に一番近いのは、選択肢4の「108.2ℓ」なので…、

 正解:4

 …と相なります。

 次の問題へ。

過去問その他の問題

 本問以外の問題は、以下のリンク先にあります。

 通勤・通学中にどうぞ。

法令

 1問:各類性質・・・「ふつう」。

 2問:指定数量・・・「ふつう」。

 3問:予防規定・・・「ふつう」。

 4問:保有空地・・・「ふつう」。

 5問:消火器・・・「ふつう」。

 6問:屋外タンク貯蔵所 防油堤・・・「ふつう」。

 7問:給油取扱所の給油空地・・・「ふつう」。

 8問:仮使用・・・「ふつう」。

 9問:監督処分・・・「ふつう」。

 10問:免状の記載内容・・・「やや難」。

 11問:保安講習・・・「ふつう」。

 12問:移動タンク貯蔵所・・・「ふつう」。

 13問:貯蔵取扱・・・「ふつう」。

 14問:定期点検・・・「ふつう」。

 15問:運搬・・・「ふつう」。

物化

 16問:表面燃焼・・・「ふつう」。

 17問:メタノール燃焼・・・「難」。

 18問:燃焼・・・「ふつう」。

 19問:帯電防止策・・・「ふつう」。

 20問:二酸化炭素消火剤・・・「ふつう」。

 21問:混合物・・・「ふつう」。

 22問:起電力・・・「ふつう」。

 23問:炭化カルシウム純度・・・「難」。

 24問:芳香族化合物・・・「ふつう」。

 25問:全圧・・・「ふつう」。

性消

 26問:性状・・・「ふつう」。

 27問:第2類危険物・・・「ふつう」。

 28問:危険物の性状・・・「ふつう」。

 29問:5類危険物の貯蔵取扱・・・「ふつう」。

 30問:保護液貯蔵・・・「ふつう」。

 31問:3類消火・・・「ふつう」。

 32問:鉄粉火災・・・「ふつう」。

 33問:1類性状・・・「ふつう」。

 34問:硝酸アンモニウム・・・「ふつう」。

 35問:リン化カルシウム・・・「ふつう」。

 36問:黄りん・・・「ふつう」。

 37問:5類性状・・・「ふつう」。

 38問:ジアゾジニトロフェノール・・・「ふつう」。

 39問:硫黄・・・「ふつう」。

 40問:有害気体・・・「ふつう」。

 41問:アセトアルデヒド・・・「ふつう」。

 42問:アニリン・・・「ふつう」。

 43問:硝酸・・・「ふつう」。

 44問:三フッ化臭素・・・「ふつう」。

 45問:過酸化ナトリウム・・・「ふつう」。

アーカイブ

 旧7問(R5):給油取扱所

 旧28問(R5):性質

 旧3問(R4):予防規定

 旧6問(R4):屋外タンク貯蔵所

 旧11問(R4):保安講習

 旧18問(R4):燃焼点

 旧2問(R3):指定数量

 旧10問(R3):危険物保安監督者

 旧29問(R3):黄りん

独学向け教材

 まず、「理系」からです。

 テキストは「 わかりやすい!甲種危険物取扱者試験 第2版 」を…、

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 次に、「文系」です。

 詳細は、「教材レビュー」で述べていますが、読むのが面倒な人は…、

 過去問は「 甲種危険物取扱者試験 令和6年版 」を…、

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 「法令」と「性消」は、乙種のテキストと問題集を再利用します。十分に点が取れます。

 

 おおむね、文系で甲種を受験する人は、わたしのように、受験資格が「4種類(※)」のはずです。テキストと問題集は、「お古」で十分です。わたしは、使い古しのテキストと問題集でざっくり復習し、ほいで、過去問を新たに買ったのですが、これで、9割取れてました。

 ところで、乙4とかのテキストを捨ててしまった人は、ド定番の「 わかりやすい!甲種危険物取扱者試験 第2版 」を使います。

 問題集は、過去問で代用できるので、よほど不安な人でない限り、要らないです。

 んで、過去問の「 甲種危険物取扱者試験 令和6年版 」は、文系の必須教材です。文系の人は、最新版を必ず購入ください。

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危険物取扱者のこまごましたもの

 危険物取扱者に関するこまごましたことは、たとえば、「危険物取扱者や消防設備士を他府県受験するときの願書と封筒」などを、ブログにも投稿しています。

 興味のある方は、「危険物取扱者:ブログ記事」をばご参考ください。

 試験科目個々の勉強方法は、文系は「甲種:文系の独学」を、理系は「甲種:理系の独学」を一読をば。

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