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簿記2級出題区分の改定ポイント4-微妙な論点・要注意論点

まずは初めに結論を。一口で言うと。まとめ。要旨。

簿記2級の改定によって加わる新論点のうち、製造業を営む会社の決算整理・月次処理・課税所得の算定方法の3つは、これまでのデータや実績がないので、混乱が予想される要注意論点である。

多くの論点は、勘定科目の言い換えだったり、簿記1級のダウングレードだったりで、そう不安はないのです。

しかし、怖がらせる意図はないのですが、新しく簿記2級に追加される論点のうち、どうなるのかわからないのが、「製造業を営む会社の決算整理」と「月次決算」と「課税所得の算定方法」の3論点です。

これまでの出題実績がないので、トンテモナイ出題があるなどの、混乱が生じる恐れがあります。

結論から言うと、良質なテキストと問題集を使って、受験のプロのエッセンスを頂くのが一番かと思います。

製造業を営む会社の決算整理

簿記2級には、工業簿記・原価計算が出題されていますが、それらが、商業簿記とうまくリンクできていないのがこれまでの簿記試験でした。

商業簿記の問題は、主に決算の期末処理なのに対して、工業簿記・原価計算のそれは期中処理が多く、問題自体がうまく関わってこなかったという次第です。

これを受けて、「製造業を営む会社の決算整理」という独自の論点が、簿記2級の商業簿記に新たに設置されるのですが、正直、どういう問題になるのかわかりません。

「仕掛品」の決算処理と計上に絡んだ問題なのでしょうが、当該論点は簿記2級の固有論点として採用されるので、これまでに出題実績がなく、どんな問題になるかも不明です。

注意すべき論点かと思います。

当該論点は、平成30年度から、つまり、平成30年(2018年)6月の試験から導入されます。

月次処理

従来の試験では、年に一回、決算日に売上原価を計上していましたが、実務では、売上のつど売上原価を計上して、逐一すばやく、経営状態を把握できるようになっています。

こうした実務事情を受けて、「月次処理」も、出題の可能性があることが明文化されました。

資料によると、「月次処理」だからといって、新たな勘定科目が増えたり処理が異なったりするわけではないと、述べられています。

以下は、資料に掲載されていた仕訳例です。

「販売のつど売上原価勘定に振り替える方法による売買取引の処理」

【例】@800円のものを100個仕入れて、60個を@1,200円で売った。販売のつど、売上原価勘定に振り替えている。

商品 80,000/買掛金 80,000

売掛金 72,000/売上 72,000

売上原価 48,000/商品 48,000

…ってな仕訳となっています。

当該論点は、「決算」がテーマの総合問題にはそぐわないので、出題されるとしたら、「仕訳問題」として出題されそうです。

また、当該月次処理に絡んで、「月次決算の場合による処理」という新論点が追加されています。

資料によると、「従来の年次決算で行われていた、収益・費用の見越し計上や、見越しの再振替仕訳が行われない場合もある」とのことです。

当該論点も、どう「問題化」されるのか明らかでないので、要注意論点です。単純な仕訳問題ならいいのですが…。

当該論点は、平成28年度から、つまり、平成28年(2016年)6月の試験から導入されます。

課税所得の算定方法

「課税所得の算定方法」は、税効果会計との整合を計るために、2級の出題範囲に含まれることになりました。

一般的に、税引き前純利益と課税所得が異なるので、このあたりの実務事情の理解を促すための、導入と相なっています。

簿記の試験ですから、絶対に、難しいものは出題されないと思います。

資料では、貸倒引当金の損金不算入が例として挙げられています。

まあ、出るにしても、FP技能士1級~2級程度の、役員報酬等の損金計上できるもの・できないものの区別や、それらに絡んだ処理が「山」だと思います。

そもそも、当該「課税所得の算定方法」の導入の背景となった、税効果会計ですら、実質は実効税率を掛けるだけの“掛け算”ですから、そこから、とんでもなくレベルの高い内容は出ないと思われます。

当該論点は、平成29年度より、つまり、平成29年(2017年)6月の本試験より導入されます。

微妙なのですが、そう難しい内容は出せないので、基本的な仕組みだけは理解しておきましょう。

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